図書館のビジネス支援と司書の役割

図書館のビジネス支援は、わが国でも広く始められるようになりました。中でも、図書館の新しい業務モデルのプロトタイプとされたのは、アメリカ・ニューヨークにある公共図書館に属する4つの研究図書館の1つ「科学産業ビジネス図書館」(Science, Industry and Business Library:SIBL)です。

 

「SIBL」は、1996年の開館以降、数多くの企業家の支援を行ってきたことで知られる図書館で、5万冊を超すビジネス関連の書籍や雑誌をはじめ、100台余りのコンピュータを有し、200余りの商業データベースへのアクセスが可能となっています。

 

企業家たちの支援のためのビジネス関連の講座を運営するのは、ビジネスの専門家ではなく、ビジネス関連の情報と専門知識をもつ同館の司書たちです。

 

「SIBL」に触発された人びとによって、わが国でも公共図書館をビジネス支援の場とすることを目的として、非営利の団体「ビジネス支援図書館推進協議会」が設立され、2001年に活動をスタートさせました。

 

土曜と日曜、夜間に開館している公共図書館の利点を生かし、創業支援の経験者と図書館職員や司書が協力しあい、起業セミナーや相談、ビジネス関連データベースの提供サービスを行い、起業を考える人びとや、地域経済を担う農・商工サービス業者や中小企業の経営者たちのビジネスを支援する役割を担うというもの。

 

支援を中核となって担うのは、専門職としての司書。協議会では、何よりも必要なのは「図書・資料検索などデータベースの運用能力」「図書・資料を的確な選択する能力」「利用者のニーズを正しく理解する能力」「事業企画を立案する能力」など、多方面に長けた司書の養成も視野に入れています。

 

2010年には、「第1回ビジネスレファレンス・コンクール」を開催。司書が、課題に対して、レファレンスを行うコンクールで、的確、かつ有用な回答に対して、賞が授与されました。

 

優秀と認められたレファレンスの回答事例集『図書館員によるビジネス課題への回答事例集〜図書館があなたの仕事をお手伝い』は、同協議会のウェブサイト上で公開されています。

 

ほかには、2004年に開館した静岡市立御幸町図書館が、転職、起業、投資などへのビジネス支援を行っています。